雑記にあった分を若干修正などして掲載。
そのうちもう少しフォーム整えます。




『幻想のアヴァタール 〜prototype edition〜』WEB配布版
製作・配布べにたぬき
ジャンル”現代和風”伝奇ビジュアルノベル
システム吉里吉里2



●プレイ雑感
まず最初に一言言えるべきことは。

お美事、お美事にござります!

プロローグを始めた直後から引きずり込まれる様に没頭して、
タイトルが出た瞬間にはっと我に返る。
冗談でもなんでもないんですが、途中家人が私を呼んだらしいのですが、気付きませんでした。
シーンに対応した曲の選定がもう見事すぎて、思いっきり聞き込んでしまった模様。 こりゃ凄いわ。
特にプロローグの最後のシーン。
一面の朱色と紅葉の赤の中消えていくあの場面には、本気で涙出た。
そこからタイトルに繋げる手法も上手く、感心ひとしきり。


プロローグがどうもかなり過去の話だったらしいのですが、
ジャンルにあるように本編はうって変わって現代が舞台。
霊障を祓う探偵業をする主人公の十哉と、パートナーというか保護者っぽい人語を解する猫、抹茶。
彼ら一人と一匹の”仕事”から本編は始まるわけなんですが……
や、この”仕事”……つまり、生者に害を為す”悪霊”とのバトルは凄かった。
というかですね、絵が。 絵が凄い。 どう凄いかは皆さんで確認を。
テンポ、音楽、内容に至るまで全てが私好み。
調伏式符発動の祭文見た瞬間に「うお、不動明王真言だ」とか素で呟く辺りが私のダメさが極まる所(w
あと、十哉の使ってる剣の名前でまた反応したりと忙しいことこの上なく。
まさかそういう名前を持ってくるとは。 由来を聞けばそりゃ強力だよなぁ、とか一人でニヤニヤ。
ここで特筆すべきなのは、祓うべき対象である”悪霊”についての記述。
単なる悪は滅びろ的な勧善懲悪じゃないのですな、これ。 そんな胸の空くような物じゃない、とは十哉本人の言ですが。
これを見て最初に思ったのは”やりきれないな”ということ。
悲しみといえばいいのかどうか。 例えようも無いやりきれなさがある。
それでもこの仕事をする、という思いと、相対した「少女」に告げた言葉。
これが十哉の人であるが故の甘さであり、同時にこの仕事をするうえで決して捨ててはいけない物なんでしょう。

一仕事終えた後の帰宅後は、いい意味で空気の入れ替え作業。
のっけから怠惰に登場のアカがある意味馬鹿で可愛い、新ジャンル「馬鹿可愛い」だ(意味不明です

その後の展開はかなり凄いことになるので割愛するんですが、
ものっそい急転直下、かつ色々と衝撃的なことが。
色々と謎を残しつつ、とてもいいところで「続く」という、まこと体験版の名に恥じぬ造り。
ところでmythって……(通信途絶。影の国へ旅立ったようです)
取り敢えずはえらく特徴的になってしまったヒロイン(多分)一柳楠姫嬢と、
メイドでマントという独特な風貌とそのゆるめな性格がステキなマルキナ嬢。
あとアカの3人で十哉君にどんな受難をもたらすのかと思うと楽しみです(何
まあ、主に実質的な被害はクスキンこと楠姫嬢によるものと推察されますが(ぇ

あ、あと女専務えろいよ女専務若いよ。
きっと動力補給&手駒量産の手法に違いないですよ、あれは(ぇ
……女専務って、どことなく淫靡な言葉ですね?(ややズレてます)


●テキスト
全体的な印象は、読みやすく引き込み易い。
無駄な装飾もなく、すっきりと読んでしまえる感じ。
難しい字にはルビも振ってくれる親切設計は好印象です。
説明の分量、解説用語、その他もかなり分かりやすく作ってある風で、
あれこれと試行錯誤したのではないかというのが伺えます。


●ビジュアル面
上手く背景素材とイベント絵&背景を混ぜてあるな、と。
フリー素材使用のゲームって、どうしても途中で違和感を覚えがちになることの多い印象があるのですが、
この作品については(個人的には)違和感を覚える部分はなかったかな、と。
あと、視点が変わるとテキストエリアの背景も変わるのが地味に芸細かいと思います。
イベント絵の質に関しても文句なし。 絵は好みが分かれるかもしれませんが、
全体的に塗りも丁寧ですし、インパクト与える構図の使い方が上手いのではと思います。


●その他、細かいアレコレ。
おまけ要素も一通り堪能。 いや、芸細かすぎでしょこれ。
メニュー画面の遊び心からオプション画面の各ページにまでネタが。
こういうお遊びは大好きなのでどんどんやっていただきたいところであります。
……しかし、フリー素材とはいえサウンドモードも欲しかった気がするのは私だけだろうか。
音楽演出いいだけに、その曲がぽんと聞けるような仕掛けが欲しいかもです。
まあ、素材のページに直接行けば済む話かもしれないんですがっ。


この作品についても言えることなのですが、折角なので書いておこうかな、と思うこと。
昨今における、この手の伝奇物のお約束として、ある程度の知識が無いと難解な部分があることが挙げられます。
こればかりは読み手の興味と素養の問題なので、気になったら調べてみるといいよ、としか言えないのが辛いところ。
前知識無い人にとっては初見では「?」かもしれませんが、意味を理解すれば読めるのです(当たり前)。
特にこういう現代伝奇物は、歴史から始まって和洋折衷な呪術・魔術、果ては料理や生活の知恵のような雑学に至るまで専門的な単語が頻出します。
これらをテンポ良く理解しながら読むためには、前もってある程度の知識が必要となるのは自明の理です。
魔術用語などではよく作者の方が作った造語なども登場しますが、
これも単語ごと、もしくは構成する単漢字の意味が拾えれば大体の概要が類推できます。

……そして、ここからが重要なのですが。
メディアの種類を問わず、こうやって公開する物は不特定多数の人に楽しんでもらうという性質上、
そういった前知識が無い人のためにある程度説明を入れなければならないことと、
その説明がある程度の知識を有する人からは「冗長だ」「説明が多い」という評価に繋がること。
これ、多分この先このジャンルが続いていく限り無くならない、作り手側のパラドックスだと思うのです。
バランス取りが非常に難しい部分だと思います。 感じ方はそれこそ受け取り手一人一人で違いますから。

私も、曲がりなりにも多少は文章を書く人間なので、よく解ります。
……現に今、これ書いてる時点で既に人によってはものっそいクドいと思いますし(本末転倒です

※追記
作者の方の意見を見て、そちら方面もあるな、と思ったのでちょっとだけ追加。
こういった難解な言葉は「じゃあ噛み砕いた言葉で書けばけばいい」って言っちゃえるほど簡単なものでもない訳で。
作者の方がある意図を持って、それに合致する「言葉」を使うのならば、それは我々受け取り手には一種の挑戦です。
我々が作者の意図を知る為に、言葉の「理由」を類推すること。 これは謎解き面でもプラスになる考え方かも。
理由を類推し、因果を考察し、原因にたどり着ければ、それは物語を知る材料の一つになると私は思う訳です。
まあ、つまりはあれこれ考えながら読むことも楽しみ方の一つですよ、と。

個人的には、難解な単語が頻出して解らないと投げ出したり、
逆に説明が多すぎてクドいと投げてしまうのは「読む努力」が欠けているのかな、とも思います。
……まぁ、私はこの手の物が滅法好き&説明文大好き人間なので(SF等でもクドい位の説明文見るのが楽しい人)こういう考え方なのでしょうけどね。
ある意味、こういう読み物において「簡単に読めて理解できる物を求める」風潮ってのは、ライトノベルが作った功罪かもしれない。
上でも書きましたが、あれこれ考えて推理をめぐらせ、わくわくしながら物語を追うっていうのは、一つのスキルなんですかね。
元来読書好きな方っていうのは、皆ある程度このスキルは所持していると思うのですよ。 私もそうですが。
ミステリで順番に推理をしながら読むっていうのが出来る人と出来ない人、ってくくりはちょっと乱暴か。
少なくとも、まず最初に後書きとか結末を読んじゃう人には向かないかもしれない。


●総括
「は、早く続きを! 続きを読ませて!」
といった所ではないかと。
久々に続きが楽しみな体験版に出会い申した……
という訳でIndexページに応援バナーを貼っておきますね。
孤独のグルメ的に。 十哉君も食事は静かに孤独で楽しみたい人なのかしら……


あと、最後に一つだけ。
やっぱ胸は小さめの方がいいよ、そっちの方が断然いい(ぇ


……うん、ページ移すにあたって少し削ろうと思ったら更に長くなった。 反省。




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